確定申告が必要な場合、確定申告した方がいい場合

記事監修

藤森税務会計事務所
代表/税理士 藤森雅生

会計事務所に入所後、15年以上にわたり普通法人から公益法人まで様々な業種・規模の税務・会計・経営コンサルティング業務に従事。税理士法人の副代表社員を経て、令和2年に独立開業。「誰よりも相談しやすい税理士」をスローガンに、個人・法人問わず様々な業種の経営者様をサポートしています。

 

確定申告という言葉はよく耳にすると思いますが、自分には関係ないと思っている人がほとんどだと思います。実際、会社員の方は会社が所得税の納税を代行しているため自分で確定申告をする必要がありません。この会社員には一見関係ないと思われがちな確定申告ですが、確定申告をしなければならない場合があります。自分には関係ないと思って、確定申告を怠っていると、気づかないうちに脱税をしているなんてこともあるかもしれません。

そこで今回は確定申告が必要になる場合、さらには確定申告した方が得する場合について解説します。

 

そもそも確定申告とは?

確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)の所得(もうけ)とそれに対する所得税を計算し、原則として、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に申告する手続きのことをいいます。

ここでいう所得(もうけ)とは、会社員であれば給与所得、個人事業主であれば事業所得のことをいいます。

 

確定申告が必要な場合

① 個人事業主

個人で事業をやっている方やフリーランスの方など、1年間の売上から必要経費を差し引いて利益が出ている場合は確定申告が必要です。

 

②所有している土地や建物などの資産を売って利益が出た場合

所有している土地や建物を売って利益が出ている場合は確定申告が必要です。

 

③給与を2カ所以上からもらっている場合

給与を2カ所以上からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える場合。つまりダブルワークしていて、メインではない方の仕事の給与が一定額を超える場合は確定申告が必要です。

 

④給与以外に副業収入がある場合

副業をしている方で、副業の所得金額(もうけ)が20万円を超える方は確定申告が必要です。

 

⑤年間の給与が2,000万円を超える場合

年間の給与が2,000万円を超える方は、年末調整ができないので確定申告が必要です。

 

⑥仮想通貨、FXで利益が出た場合

仮想通貨やFXなどの譲渡で利益が出た場合は確定申告が必要です。

 

⑦競馬で儲かった場合

競馬で儲かった場合、具体的には「当たり馬券の払戻金-当たり馬券の購入費」の合計額が50万円を超える場合は確定申告が必要です。ここで注意しないといけないのが、はずれ馬券のことを全く考慮に入れないということです。そのため年間で競馬の儲けがマイナスであっても、当たり馬券の儲けの合計が50万円を超える場合は税金がかかります。

 

確定申告した方がいい場合

① 個人事業主で事業が赤字の場合

個人で事業をやっている方やフリーランスの方は、事業が赤字である場合は申告が不要です。しかし、赤字が出ている場合は、払いすぎた税金の還付を受けられることもあるので、確定申告をした方がいいです。さらに青色申告事業者であれば、確定申告を行うことで、事業の赤字を翌年以降3年間繰り越せ、翌年以降の利益と相殺することができます。

 

② 多額の医療費を支払った場合

支出した医療費が原則として年間10万円を超えている場合、確定申告を行うことで医療費控除を受けることができます。医療費には自分の分だけでなく生計を一とする配偶者や親族のために払った医療費も含みます。

また、医療費控除と併用はできませんが、「セルフメディケーション税制」の適用により、令和3年12月31日までは、1年間に購入したスイッチOTC医薬品の金額が1万2,000円を超える場合は、超えた部分について所得控除を受けることができます(8万8,000円が限度)。

 

③ ふるさと納税をした場合

ふるさと納税とは、自治体に寄附をすることで返礼品がもらえる制度です。確定申告を行えば、ふるさと納税で寄附した金額から2,000円を引いた金額を所得から控除できます。

 

④ 住宅ローンで家を買った場合

返済期間10年以上の住宅ローンで住宅を新築、取得又は増改築をした場合は、居住を開始した年から原則として10年間「住宅借入金等特別控除」を受けられます。住宅ローン残高の1%を所得税額から控除できます。

 

⑤ 家を売って損失が出た場合

マイホームを令和3年12月31日までに売却して、新たにマイホームを購入した場合に、譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除することができます。さらに、控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除することができます。

 

⑥ 株を売却して損が出た場合

上場株式を売却して損が出た場合、その年の利子・配当所得と相殺できます。さらに損失を3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺することができます。

 

⑦ 年の途中で退職した場合

年の途中で退職して、再就職していない場合は、年末調整が行われていないので、確定申告をすれば税金の還付を受けることができます。

 

⑧ 災害や盗難で損害を受けた場合

災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。

 

まとめ

確定申告が必要な場合、確定申告をした方がいい場合について説明しました。会社員の方は確定申告をする必要がないことがほとんどです。知らず知らずのうちに必要な確定申告をしないで脱税したり、した方がいい確定申告をしないで損をしたりしている可能性があります。今回の説明を読んで自分が当てはまるものがないかチェックしてみてください。

 

 

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藤森税務会計事務所

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過去に多くの経営者様とお付き合いをさせていただき、経営者様の多くは孤独であり、常に不安を抱えていると感じました。経営者様の良き相談相手になりたい。安心感を抱いていただきたい。 そんな想いで、私たちは「かかりつけ」の税務会計事務所を目指しています。

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