青色申告のメリット・デメリット

記事監修

藤森税務会計事務所
代表/税理士 藤森雅生

会計事務所に入所後、15年以上にわたり普通法人から公益法人まで様々な業種・規模の税務・会計・経営コンサルティング業務に従事。税理士法人の副代表社員を経て、令和2年に独立開業。「誰よりも相談しやすい税理士」をスローガンに、個人・法人問わず様々な業種の経営者様をサポートしています。

 

年が明けていよいよ確定申告の時期が近づいてきました。確定申告が必要な事業主様は書類の整理などに追われているのではないでしょうか?

今回は確定申告の申告方法の一つである青色申告についてメリット・デメリットについて解説します。

 

1.そもそも青色申告とは?

確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告をできる方は、事業をやっていて、事業所得、不動産所得、山林所得がある方で、事業をやっていない一般の方は白色申告となります。

青色申告とは、青色申告制度に基づいて申告することを言います。青色申告制度とは、日々の取引について一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人について、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度です。

 

2.青色申告のデメリット

青色申告をすると、以下のようなメリットがあります。

⑴ 65万円の青色申告特別控除が受けられる

複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した損益計算書と貸借対照表を添付して申告期限までに確定申告をした事業者の方は、所得から65万円(注1)の控除を受けることができます。これは、お金を1円も使うことなく、65万円分の経費を計上できるということなので、節税につながるかなり大きなメリットと言えます。

(注1)2020年以降は、原則55万円の控除となりますが、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行うことで65万円の控除を受けることができます。

 

⑵ 青色事業専従者給与を必要経費に算入することができる

従業員として働いている青色申告者と同一生計の奥さんや家族に支払った給与は、事前に税務署に届け出た金額の範囲内であれば全額経費にすることができます。白色申告の場合には、一定額しか経費にすることができないので、大きなメリットと言えます。

 

⑶ 赤字を3年間繰り越すことができる

事業が赤字だった場合に、その赤字を翌年以降3年間の黒字と相殺することができます。これにより翌年以降の税金を減らすことができますので、大きなメリットと言えます。特に開業初年度は売上が少なく、開業費用などの経費も多いことから赤字になるケースが多いと思いますので、初年度から青色申告することをおすすめします。

また、赤字を前年の黒字と相殺して、前年に納めた税金の還付を受けることもできますので、赤字の場合でも青色申告をすることは重要です。

 

⑷ 30万円未満の備品を一括で経費にできる

通常、パソコンなどの備品を購入した場合に購入価格が10万円以上の場合は、一度に経費に計上することはできず、耐用年数に応じて毎年徐々に経費に計上していかなければなりません。

青色申告の場合は、それが30万円未満であれば、一度に経費に計上することが可能です。

年度末にパソコンなどを購入した場合でも、すべて経費になるので、年度末ギリギリの節税対策として有効利用できます。

 

⑸ 貸倒引当金を経費にできる

事業をやっていく上で、売上代金の一部が回収できないリスクは常にあります。その回収できない損失額を実際に損失が出る前に前もって計上するのが、貸倒引当金です。貸倒引当金として計上した損失額は、経費として計上することができます。

白色申告の場合は、貸倒れることが確実な場合にのみにしか貸倒引当金として計上できませんが、青色申告の場合は、貸倒れることが確実でない場合でも、年度末の売掛金や貸付金の合計額の5.5%まで貸倒引当金として計上することができます。

 

3.青色申告のデメリット

多くのメリットがある青色申告ですが、以下のデメリットがあります。

⑴ 白色申告の場合に比べて帳簿が複雑

青色申告をして、65万円控除を受けるためには、複式簿記で記帳し、損益計算書と貸借対照表を作成しなければなりません。こちらは簿記の知識がない方ですとかなりハードルが高いと思います。ただ、今は簡単に入力できる会計ソフトもありますので、チャレンジしてみてもいいかもしれません。

もし無理な場合は、簡便な方法として、損益計算書のみ作成し10万円のみ控除を受けるという方法もあります。その他、税理士に依頼するのも一つの方法です。

 

⑵ 事前に青色申告承認申請書の提出が必要

こちらはデメリットと言えるほどのものではありませんが、青色申告をするには事前に申請書を税務署に提出しなければなりません。申請書には提出期限がありますので注意が必要です。提出期限は以下の通りです。

① 原則

青色申告をしようとする年の3月15日まで

② 新規開業した場合(1月16日以降に開業した場合)

業務を開始した日から2カ月以内

 

上記のように、申告期限になって青色申告をしようとしても、その年の申告から青色申告することはできません。青色申告をしようと思ったらすぐに申請をするようにしてください。基本的には事業を始めたらすぐに提出することをおすすめします。

 

4.まとめ

青色申告のメリット・デメリットについて説明しました。青色申告はほとんどメリットしかないのでやらない手はないです。デメリットである帳簿が複雑なことに関しましては、事業規模がそれほど大きくないうちは、会計ソフトを使用すれば作成することが可能です。

もし作成に不安がある場合は、弊所で無料相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

 

 

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過去に多くの経営者様とお付き合いをさせていただき、経営者様の多くは孤独であり、常に不安を抱えていると感じました。経営者様の良き相談相手になりたい。安心感を抱いていただきたい。 そんな想いで、私たちは「かかりつけ」の税務会計事務所を目指しています。

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