押さえておきたい経営指標

記事監修

藤森税務会計事務所
代表/税理士 藤森雅生

会計事務所に入所後、15年以上にわたり普通法人から公益法人まで様々な業種・規模の税務・会計・経営コンサルティング業務に従事。税理士法人の副代表社員を経て、令和2年に独立開業。「誰よりも相談しやすい税理士」をスローガンに、個人・法人問わず様々な業種の経営者様をサポートしています。

 

自社の経営状態を把握することは、経営方針や経営計画を策定する上でとても重要です。今回は自社の経営分析をする際に用いられる主な経営指標について説明します。

 

1.収益性の経営指標

収益性の経営指標とは、企業が利益を出すことができているかを知るためのものです。

売上高総利益率(%)は、「粗利率」と呼ばれるもので、会社の本業の利益水準を示す経営指標で、高ければ高いほど、会社の事業内容が収益力の高いものであると言えます。

売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

総資本経常利益率(%)は、投下した資本に対してどの程度の利益を生み出しているのかを知ることができます。高ければ高いほど、会社が資本をうまく活用して利益を出すことができていると言えます。

総資本経常利益率(%)=経常利益÷総資本×100

2.安全性の経営指標

安全性の経営指標とは、企業の財務状態の健全性を知るためのものです。

流動比率(%)は、短期的な支払い能力を分析する際に用いる経営指標です。流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を表します。200%以上だと理想と言われていて、100%を切ると危険と言えます。

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

固定比率(%)は、長期的な支払い能力を分析する際に用いる経営指標です。固定比率は、自己資本に対する固定資産の割合を表します。100%を下回っていれば安全性は高いと言えます。

固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100

3.生産性の経営指標

生産性の経営指標とは、経営資源を効率的に使用して付加価値を生み出したかを知るためのものです。

労働分配率(%)は、付加価値(売上総利益)のうち人件費の占める割合のことで、人件費と利益の相関性が分かります。低ければ低いほど労働効率が良いと言えますが、あまりに低いのは労働環境が悪い可能性もあるので注意が必要です。労働分配率の目安は40~60%程度と言われています。

労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100

4.成長性の経営指標

成長性の経営指標とは、企業がどれくらい成長しているのかを知るためのものです。

利益増加率(%)は、正常収益力である経常利益の前期からの増加率を計算することで、企業の本来の実力の成長性を、営業利益、当期純利益を用いて計算することで本業の成長性、長期に渡る成長性がどれくらいかを調べることができます。高ければ高いほど企業が成長していると言えます。

利益増加率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100

売上高増加率(%)は、当期の売上高が前期の売上高からどれくらい伸びているかを見る指標です。高ければ高いほど成長していると言えます。同業他社や自社の過去実績との比較が有効です。

売上高増加率(%)=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100

5.効率性の経営指標

効率性の経営指標とは、会社が資本(資産)を効率良く使って売上を生み出しているか を見るための指標です。

総資本回転率とは、会社が持っている総資本(総資産)によって、どれくらいの売上高が生み出しているかを客観的に把握するための指標です。つまり、どのくらい総資本を有効に使えているかを表す指標です。総資本回転率が1.3回転以上であれば、優良水準と言えます。資本効率が高く、不良性の資産も殆どない健全な資本環境です。

総資本回転率(回)=売上高÷総資本

まとめ

経営分析に用いる主な経営指標について説明しました。自社の経営状態を把握することは経営計画を策定する上でもとても重要です。今回説明しました経営指標を用いて自社の経営状態を把握してみてください。

 

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