初めて事業を始められる方は、税務署などに何の届出をすればいいのかよくわからないと思います。今回は事業を始めたときに必要な税務署への届出について説明したいと思います。
1.個人で事業を始めたとき
個人で事業を始めたときには、次のような届出が必要になります。
① 個人事業の開業・廃業等届出書
開業後1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出が必要です。この届出書により税務署へ事業を開始したことを知らせることになります。
この届出書は、屋号名義の銀行口座を作るときに提出を求められるケースもあるので、きちんと提出するようにしましょう。
② 所得税の青色申告承認申請書
様々な特典を受けることができる青色申告をしようとする場合に提出が必要です。提出期限を過ぎるとその年度は青色申告をすることができなくなってしまうので、提出期限は厳守しましょう。提出期限は、開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日まで、開業の日が1月16日以降の場合は、開業の日から2か月以内となります。
③ 青色事業専従者給与に関する届出書
配偶者や家族に支払う給与を必要経費にするために、この届出書の提出が必要です。届出書には、支払う予定の給与額を記載します。記載した金額以上の給与は経費になりません。また世間相場と比較してあまりに高い金額を記載しても、経費となりませんので注意が必要です。提出期限は、「所得税の青色申告承認申請書」と同じです。
青色事業専従者が増えた場合、給与額に変動があった場合はその都度提出が必要です。
④ 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
給与支払事務所等を設けてから1か月以内に提出が必要です。ただし個人事業の開業・廃業等届出書に給与等の支払の状況を記載した場合は、提出は不要です。
⑤ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
給与などから差し引かれる源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっています。この申請書は、給与を支払う従業員が常時10人未満である事業者が、給与や税理士等の報酬について源泉徴収をした所得税について、1月から6月分を7月10日に、7月から12月分を翌年1月20日に、年2回にまとめて納付できるようにするためのものです。
2.法人を設立したとき
法人を設立したときは、次のような届出が必要になります。
① 法人設立届出書
法人設立後2か月以内に「法人設立届出書」の提出が必要です。この届出書により税務署へ法人の概要を知らせます。提出の際に、添付書類として定款等の写しの提出が必要です。
② 青色申告の承認申請書
様々な特典を受けることができる青色申告をしようとする場合に提出が必要です。提出期限を過ぎるとその年度は青色申告をすることができなくなってしまうので、提出期限は厳守しましょう。提出期限は、法人設立の日以後3か月を経過した日又は最初の事業年度の終了日のいずれか早い日の前日までとなります。
③ 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
給与支払事務所等を設けてから1か月以内に提出が必要です。
④ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
個人の場合と同様です。
⑤ 消費税の新設法人に該当する旨の届出書
法人の設立事業年度とその翌事業年度は、原則として免税事業者となり、消費税を納める必要がありません。しかし、設立時に資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人は納税義務者となり、消費税を納める必要があります。その場合に、この届出書の提出が必要になります。ただし、法人設立届出書に消費税の新設法人に該当する旨を記載した場合は、提出は不要です。
3.まとめ
開業時に必要な税務署への届出について説明しました。提出期限をしっかり守って提出するようにしましょう。今回は説明していませんが、社会保険や労働保険関係の提出書類もあります。あわせて提出するようにしましょう。